東映エージエンシー様に聞く/50周年を迎えたスーパー戦隊シリーズ制作に受け継がれる思い

1975 年に『秘密戦隊ゴレンジャー』がスタートしてから、スーパー戦隊シリーズは2025年に50 周年を迎えました。現在は、これまでのスーパー戦隊シリーズの中でも、最高・最強の「ナンバーワン」を目指し、子どもたちに圧倒的な人気を誇る動物や恐竜「獣(けもの・ジュウ)」をモチーフに指輪争奪を巡るナンバーワンを目指すヒーローが活躍する『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』が放送されています。節目を迎えたスーパー戦隊シリーズの番組企画・出資案件を担当する東映エージエンシーのチーフプロデューサー矢田晃一様に、シリーズ制作に受け継がれてきた思いを伺いました。
(写真=三橋優美子)

まずは、スーパー戦隊シリーズが50周年を迎えた思いから聞かせてください。

矢田様:
50年間もの長い間、継続できているコンテンツというのは稀有だと思いますが、制作に携わる会社やスタッフはもちろん、スポンサー様や関係各社様のお力添えによるものだと思いますし、なにより応援してくださるファンの皆様のおかげですので、まずは感謝を申し上げます。50周年を迎えてもなお、これまでのシリーズで大切にしてきたこと、踏襲してきたことはしっかりと受け継いでいきたいと思っています。

スーパー戦隊シリーズは、子どもたちが最初に触れるヒーロー番組であり、ドラマだと思っています。「大人になっても記憶に残るヒーロー」というのを心がけて制作していますので、節目となる今年は関係者一同、盛り上げていきたいと話していますね。

ちょうど先日、「爆上戦隊ブンブンジャー」のシアターGロッソ(東京ドームシティ)でのヒーローショーが千秋楽を迎えたのですが、多くの子どもたちと親御さんが声援を送ってくださっていて、その光景こそ、50年間培われてきたもので、それを続けていかなければいけないと改めて思いました。

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歴史とともに広がる市場

スーパー戦隊シリーズが好きだった子どもたちが親になり、親子で楽しむ姿も多くみられますね

矢田様:
50周年ということは、親子のみならず3世代にわたり応援してくださっている方もいらっしゃるかもしれません。確実に裾野が広がっていると実感しています。子ども向け市場から、大人をターゲットにする市場にもMD企業との連動により拡大することができています。

また、かつては、戦隊ものや特撮ものというのは、ファンがある種、限定的なところがありました。しかし近年は、アニメと同様に一般的に広く支持していただけるようになってきて、その時代背景も市場の拡大につながっていると思います。

それから、昔はなかった娯楽の形態も増えてきました。カードゲームだったり、スマホ向けアプリだったり。音楽分野の環境も大きく変わりました。音楽の内容も、流行に合わせて子どもたちが口ずさみやすいものだったり、学校でもダンスが課題になってダンス好きのお子さんが増えたことを踏まえて「エンディングダンスを作ろう」といったアイデアが生まれたり…技術的な面とあわせて、時代に応じたコンテンツ作りというのもスタッフ一同、心がけています。

一方で、昭和歌謡だったり駄菓子屋さんが出てきたり、大人世代も楽しめるような演出も、脚本家や監督陣に取り入れていただいて、レトロな感じが、時代が一回りしてそれを新しく思ってくれるファンもいらっしゃるので、そういうところも50周年を迎えるスーパー戦隊シリーズならではの要素だと感じますね。

デジタル時代のプロモーション展開

最近ではSNSでの発信も積極的にされていますね

矢田様:
テレビ朝日さん・東映さんを中心に発信いただいていて、まさに今の番組には欠かせないツールだと思います。放送だけでなく、SNSでの話題やさまざまなパラメーターというのが、出演者やスタッフの励みになっているので、そこをうまく活用しています。これまでは、評価はほぼ視聴率しかなかった。SNS上での評価が数値として可視化されるのは非常に大きなメリットだと思います。逆に、リスクもあるので、その点は上手に活用していくべきだと感じています。

企業様との連携も今後強めていかれるのでしょうか?

矢田様:
ぜひ盛り上げていけるといいと思います。これまでも大変ありがたいことに多くのMD企業様がスーパー戦隊シリーズの文化みたいなものを一緒に守りましょう、継承していきましょう、というスタンスで取り組んでいただいていて、まさに“番組とMD企業との強固な両輪”があってこそシリーズを続けてこられた大きな要因だと思っています。

我々は、コンテンツの幅を広げて活用しやすい環境を整えるのが仕事。作品ごとに評価があり波もありますが、単発で終わらずにここまで続けてこられたのはとてもありがたいことだと思っています。これからも、次の世代に託していくにあたり、あまり「昔こうだったから」というのではなく、新しいセンスで作って検証して、「大人になっても記憶に残るヒーロー」のDNAみたいなものを引き継いでいけたらと思います。

貴重なお話をありがとうございました。

矢田晃一(やた・こういち)

キャラクター番組企画・出資案件を担当し、数々の特撮・アニメ番組をプロデュース。担当作品は「スーパー戦隊シリーズ」「美少女戦士セーラームーン(アニメ版・実写版)」「キューティーハニーF」「神風怪盗ジャンヌ」「アニメ週刊DX!みいファぷー」「マシュランボー」など。戦隊シリーズは「鳥人戦隊ジェットマン」から以降の戦隊シリーズすべてに参加。

番組概要
ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー
テレビ朝日系毎週日曜 午前9:30~10:00放送中
https://www.tv-asahi.co.jp/50ger/

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