アニメコラボを定着させた東武動物公園様に聞く!企画の裏側と成功の秘訣

東武動物公園は埼玉県にある動物園、遊園地、花と植物の広場が融合した関東最大級のハイブリッドレジャーランドです。同園では、動物園エリアを中心にアニメ、ゲーム、キャラクター、歌い手、VTuberなどとのコラボ企画を積極的に行っています。コンテンツファンの間では「次は何とコラボするんだろう…!?」と話題になるほどコラボ企画の定着に成功されている東武動物公園様に、コラボ企画の裏側や成功の秘訣をうかがいました。
お話をうかがったのはコラボ企画のご担当の東武動物公園 白石様です。

※本記事でご紹介する事例はトキオ・ゲッツのコーディネート事例ではありません。

目次

コラボ企画実施のきっかけは「けものフレンズ」

トキオ・ゲッツ:
東武動物公園様は、アニメやキャラクターなどとのコラボ企画をたくさん実施されていますが、そもそもこういった企画を実施するようになったきっかけはなんだったのでしょうか?

東武動物公園 白石様:
もともとは2017年に行った、アニメ「けものフレンズ」とのコラボレーションがはじまりでした。「けものフレンズ」は、動物園を舞台にさまざまな動物がヒトに変身し、冒険を繰り広げるというストーリーなのですが、アニメの中で当園の飼育係が実際の声で動物についてお話をするシーンがありました。それがきっかけで園内でも「けものフレンズ」とコラボ企画を実施するようになりました。

おかげさまで「けものフレンズ」のコラボはとても評判になり、それを見た出版社さんなどから「ぜひうちとも何かできないか」とお声掛けいただくようになりました。それから、東武動物公園ではコラボ企画を継続して実施しています。

【編集部注】
「けものフレンズ」通称「けもフレ」は2017年にアニメ化され、大ヒットを記録したメディアミックスプロジェクトです。当時、ペンギン舎近くにペンギンを擬人化したキャラクター「フルル」のパネルを置いたところ、ペンギンの「グレープ」がパネルを見つめている様子がインターネット上で大きな話題になりました。

お話をうかがった東武動物公園 白石様

試行錯誤の末、東武動物公園に合ったコラボ企画のパッケージを確立

トキオ・ゲッツ:
その後も「ハイキュー!!」「弱虫ペダル」「進撃の巨人」「東京リベンジャーズ」「僕のヒーローアカデミア」など、人気作品と次々とコラボされていますね。最近では女性VTuberグループ「ホロライブ」やアニメ「ブルーロック」「五等分の花嫁」とのコラボを実施されていました。これまでに、どのくらいの数のコラボ企画を実施されたのでしょうか?

東武動物公園 白石様:
同じ作品で第2弾、第3弾と繰り返しているものもありますが、だいたい20件くらいだと思います。

トキオ・ゲッツ:
それだけたくさんのコラボを実施していると、一つひとつの企画の内容を考えるのも大変だと思います。企画はどのように考えているのですか?

東武動物公園 白石様:
いろいろなコラボを実施するなかで試行錯誤をした結果、当園に合ったコラボ企画のひとつの型を作ることができました。
このようなパッケージをもとに、代理店やグッズ会社の方にも協力いただきながら、その作品に合ったアレンジや、お客様を飽きさせない工夫を加えるようにしています。

東武動物公園様のコラボ企画の型とは…?
・コラボ入園券の販売・オリジナルグッズの販売
・コラボフードの販売・描き下ろしイラストを使用したパネル展示
・スタンプラリー・遊園地内のゲームコーナーでのコラボ仕様のゲーム

これらに加えてプロジェクトに応じて以下のような企画も実施されています。
・キャラクターボイスを担当する声優のアナウンスやトークイベント
・バースデイ企画(イベント期間中に誕生日を迎えるキャラクターのプレゼントを期間限定配布)
・Twitterキャンペーン

コラボフードの様子(写真はすべて取材時に実施していた『ブルーロック×東武動物公園』のもの)

動物園との共通点を作り出し、親和性の高めることがポイント

トキオ・ゲッツ:
動物園とアニメなどのコンテンツがコラボするうえでは、なぜこの2者がコラボしているのか「コラボの理由」が大切になるかと思います。コラボするコンテンツの選定や企画内容で気をつけていることはありますか?

東武動物公園 白石様:
コンテンツを選定するうえでは、やはり動物と関連がある作品であることがベストだと考えています。
ただ、動物に関係のない作品であったとしても、なにかしら東武動物公園との共通点を作り出し、ファンの方々にとっても違和感がないようにすることを心がけています。

例えば、描き下ろしイラストでは動物とペアになったイラストを制作するのですが、そこに登場する動物は当園で飼育している動物のみです。また、動物の生体とキャラクターの性格・個性をできるだけマッチングさせて、なぜそのキャラクターとその動物がペアになっているか、ファンの方々にも「なるほど」と思っていただけるようにしています。

また、描き起こしのちびキャラ(SDキャラ)では、キャラクターがオリジナルの衣装を着用したイラストを制作することが多いのですが、当園の動物にちなんだアニマル柄の衣装や、当園のキャラクター「トッピー」が着ているサファリルックをイメージした衣装などを採用し、東武動物公園ならではのデザインにしています。

東武動物公園で飼育している動物とキャラクターがペアになった描き下ろしイラストパネル
描き起こしちびキャライラストも動物の着ぐるみスタイルに

コラボ企画はファミリー層以外の集客に貢献&ファンによる広報効果が高い

トキオ・ゲッツ:
これまでコラボ企画を実施してきて、集客や収益などでどのような効果を感じられていますか?

東武動物公園 白石様:
コラボ企画の効果としてもっとも感じるのは、やはり集客への影響です。若い世代のファンが多いアニメなどとコラボすることで、ファミリー層以外のお客様の集客につながっていると感じています。SNSなどを見ていると「そういえば昔、家族で東武動物公園に来たことがある」「子どもの頃以来、ひさしぶりに来た!」というコメントもあり、動物園という目的だけでは訪れることがなかったお客様が来園するきっかけになっています。
常時さまざまなコンテンツのコラボ企画を実施しているので、カップルで訪れたお客様で、男性の方は男性向けのアニメのコラボ商品を、女性の方は女性向けのアニメのコラボ商品を購入して楽しんでいる…というケースを見かけることもあります。

また、当園は屋外施設のため、天候や季節によってどうしても客足に波が生じます。その点、アニメやコンテンツのファンの方々は、天候・季節にかかわらず来園してくださる方々が多いので、閑散期でも集客を後押しする施策になっています。
その他、コラボ企画ではオリジナルデザインや特典付きの「コラボ入園券」を販売しており、プラスアルファの売上につながっていると感じています。

トキオ・ゲッツ:
アニメやコンテンツのファンの方々はSNSなどでの情報発信力も高いと思います。話題性や認知拡大の効果はいかがですか?

東武動物公園 白石様:
ファンの方々の情報発信力、拡散力は本当にすごいです。当園ではSNSはTwitter、Instagram、TikTokを運用しているのですが、あるときは公式アカウントで発信した告知より、ファンの方々の発信の方が拡散されているということもありました。

実際に園に訪れた方にも、コラボ企画や園の様子などについて、たくさんの投稿をしていただいています。
東武動物公園のコラボ企画では、描き下ろしイラストのパネルを園内各地の動物舎に掲示し、どこにどのパネルがあるかをマップで紹介しています。これは園内を周回して楽しんでいただく狙いがあるのですが、動物と推しのパネルやグッズを一緒に写真に撮り、SNSなどを通して発信していただくことにもつながっています。

また、TikTokではファンの方々がまとめたコラボ企画の体験記録などの動画も投稿されています。ちなみに、そうした動画を見ると、皆さんの編集力がすばらしく、いつも感心してしまいます。そうしたファンの方々の発信を通して、より多くの方々に東武動物公園を知っていただくきっかけになっていると感じています。

動物舎の前に展示されたちびキャラパネル
「園内は広いので大変ですが、ファンの皆さんはパネルのある動物舎をくまなく周ってくださることが多いです(白石様)」

企画は1年前から!年間を通してラインナップを検討

トキオ・ゲッツ:
この記事の読者の方々の中には、アニメなどとのコラボ企画を実施してみたいけど「難しそう」「なかなか実施に踏み切れない…」と感じられている方もいると思います。ここからは、コラボ企画を実現するためのコツについて、お聞かせください。
東武動物公園様では、年間を通してさまざまなコラボ企画を実施されていますが、準備段階ではどのようなスケジュールで進めているのですか?

東武動物公園 白石様:
基本的に、1年ほど前から年間を通してどの時期にどのコラボ企画を実施するかの計画を立てています。版権元との相談が必要なため、すべてが計画通りに実行できるとは限りませんが、繁忙期・閑散期を加味した企画実施時期や、店舗などの園内施設をできるだけ有効活用するように調整しています。

コンテンツ好きな担当者を中心に周囲を巻き込む&継続が成功の秘訣

トキオ・ゲッツ:
これだけ多くのコラボ企画を実施するうえで、社内の運営体制として工夫されている点はありますか?

東武動物公園 白石様:
当園の場合「けものフレンズ」のコラボ企画での成功がスタートだったため、コラボ企画を実施するにあたって社内でも特に抵抗はなかったです。

社内では、アニメなどが好きなスタッフを中心にコンテンツの情報交換、情報収集は常に行っており、やはりコンテンツが好きなスタッフを中心に周囲を巻き込みながら企画を前進させていくことが大切だと思います。

また、例えばある作品(版権元)にコラボを打診して、その時はタイミングが合わずにお断りされたとしても、諦めずに時期を改めて相談することで実現した…ということもあります。企画を継続して実施することも大切で、版権元にとっても、お客様にとっても「東武動物公園=コラボ企画」というイメージを確立することにつながっていると思います。

これから来る!コンテンツを見極める情報収集方法は…?

トキオ・ゲッツ:
白石様自身もアニメなどがお好きだとうかがいましたが、コラボ企画のご担当者として、日頃からどのように情報収集をされていますか?

東武動物公園 白石様:
各クールで放映されるTVアニメは、すべては見れませんが情報は必ずチェックするようにしています。気になった作品はTwitterをチェックして、そのアカウントをフォローしている層(ファン層)がどんな人たちなのかも見るようにしています。

そのほか、アニメイトなどのグッズ売場でどのような展開がされているかや、コスプレイヤーさんがいるかなどをチェックすることもあります。感覚的に、コスプレイヤーさんが多い作品は写真や動画を撮って楽しむ場面にマッチするのか、話題作になりやすい印象があります。

―アニメやキャラクターなどとのコラボ企画を検討している方々にとって、とても参考になる内容ばかりでした。貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

東武動物公園様の最新コラボ情報

東武動物公園様では、アニメをはじめとしたコンテンツとのコラボレーション企画を次々に開催予定です。最新のコラボ情報は、東武動物公園公式WEBサイトの「キャンペーン」情報をご覧ください!

ハイブリッド・レジャーランド東武動物公園公式Webサイト

YouTube公式チャンネルにてインタビュー動画も公開中

  • URLをコピーしました!
目次