販促に大きく貢献したアニメ・キャラクターコラボ事例を徹底解説

前回の鬼滅の刃コラボの分析では、多くの鬼滅の刃×企業コラボを紹介した。社会全体が新型コロナの流行による新しい生活様式に戸惑い、今まで売れたものが売れなくなるなかで、鬼滅の刃コラボは安定した経済効果を生み出し、コロナ禍の救世主となった。本コラムでは、“鬼滅“以外にも「近年の販促に効果のあったコラボ」ということをテーマに、販促に大きく成功したキャラクターコラボ事例を3つ、その他にも秀逸だった販促成功例を6つ紹介していく。

目次

事例①吉野家×ポケモン・コラボ牛丼「ポケ盛」

※吉野家公式サイトより引用

吉野家は、看板メニューの「牛丼」を「ポケモン」に登場するモンスターボールデザインの特製どんぶり(持ち帰り用は紙容器とビニール袋)で提供し、さらにジュースとフィギュアをセットにして展開。オンラインでは抽選で特製どんぶりがもらえるキャンペーンを実施した。ポケモンフィギュアは、代表的なキャラクターである「ピカチュウ」以外は、全て「ドン」のつくポケモンのピックアップとなっていた。

※参考サイト:M&AOnline、Strainer

ネットでは「11時に行ったら50人並んでいる」といった発信もあり、注文前にメニューが完売してしまった人が続出するほどの“神企画”。第3弾実施後には再販コラボも実施している。

『ポケ盛』コラボのGOODポイント

1つ目のポイントは、食べ終わると特製どんぶりの底にポケモンが現れること。これをどれだけコンプリートできるかがファンの中で盛り上がりを見せており、ファンのコレクター精神をうまく刺激していた。

2つ目はキッズ商品の同時展開。ポケモンは世代を超えて親しまれているコンテンツなので、キッズメニューの実施によって親子で楽しめるコラボとなり、グループ単価が上がったと見られる。

3つ目は、持ち帰り向けの容器。紙容器やビニール袋にモンスターボールのデザインが施されており、店内で食べられなかった場合でも、自宅でポケモンコラボを体験できる。

以上、施策の質や量、効果が非常に素晴らしいコラボだった。
もしさらに施策を付け加える事が可能ならば、メジャーなポケモンが好きなファンのためにも、そういったポケモンを使ったキャンペーンを、店頭ではなくオンラインで同時展開するのも良さそうだ。

事例②JILL STUART×A3! コラボレーション

A3!公式サイト ニュースより

続いて、イケメン役者を育成する女性向けスマホアプリゲームの「A3! (エースリー)」と コスメブランドのJILLSTUART が手を組み、昨年秋に実施されたコラボ。ゲームに登場する4つのチームから、特にファッションに関わりがある劇団員(キャラクター)をピックアップしてKVに据えていた。

施策内容は、JILLSTUARTの商材である「ルージュリップブロッサム(30色)」からA3!の劇団員24名分をイメージカラーとして選び出し、販売するもの。リップの購入者には数量限定で全24種の缶バッチと、ポストカードをプレゼント。

この件に関し、「およそ8割の購入者が新規顧客で、コラボ終了後にも多数の方に再来店いただけた」と発表があった。(参考:国際商業オンライン)
推測するに、購入者はまずコラボをきっかけに、色ではなく自分の推しキャラクターのリップを購入する。そしてその「自分では選ばない色」を気に入り、新たに自分の好きな色を発見する。そうしたサイクルが、コラボレーションの大きな目的である「新規顧客を増やす」、「トライアルをさせてリピーターにしていく」に発展し、販促として成功したのではないかと思う。

このコラボは販売開始3日前に発表され、平日朝の開始だったが、開店と同時に全国30店舗で長蛇の列ができ、缶バッジは当日午前中に配布終了となった。
また、オンラインでの「チームロゴ刻印サービス」も走らせていたが、こちらも15分ほどで完売してしまい、「購入ページに辿り着いたがもうなかった」という反響があった。

『A3×JILLSTUART』コラボのGOODポイント

はじめに、このコラボだからこそのKV。単純に人気のキャラを打ち出していくのではなく、ファッションに関連するキャラクターを起用することでしっかりファン心理を掴んだ展開をした。
現在、コロナ禍の状況で口紅の売上は激減しているが、JILLSTUARTはコラボでしっかり販促できており、そのスタートポイントとしてターゲットを意識したKVを打ち出せたことは大きい。

2つ目はユーザーが迷わず買える施策。「どの色がいいかな?」ではなく、「あなたの推しキャラクターの色はこれ」と決めており、「ひとまずこれは買う」と迷う必要のない状態に出来た。普段は付けない色を買い、新しい自分を得るというきっかけづくりにも、この施策が一役買っていた。

3つ目はEC限定施策の投入。JILLSTUARTは全国に30店舗、なかなか店舗まで来れない人もいる。そこへオンライン限定の刻印サービスを投入したのは素晴らしい。

こちらの販促については、この上で「マストバイキャンペーン」を行ってもいいかもしれない。A3!はアイテムの収集に意欲的なファンが非常に多い。缶バッジプレゼントに限らず、「レシートを使ってタペストリーが当たる」などのクローズドキャンペーンを投入すれば、さらなる収益が期待できそうだ。
しかし、施策が多すぎてファンを疲弊させることを敬遠したのかとも推察する。

事例③丸亀製麺×劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』 ウドンピード-奇跡の共同戦線-

3つ目の事例は今までのコラボに比べると少し昔の話になるが、印象深かったので紹介させていただく。

丸亀製麺がワンピースの新作映画とコラボした事例。KVは海軍の正義と海賊の自由をコンセプトに、丸亀製麺にも「正義のうどん」と「うどんの自由」がある、というメッセージを発信したもの。

施策として、作品の『悪魔の実』から着想を得た「ニガニガのかき揚げ」などの限定トッピングメニュー4種を販売した。コラボかき揚げとうどん1杯を購入するとその場で「コラボ缶バッジ」、さらにうどん1杯につき1枚の「コラボうどん札(クーポン券)」をプレゼント。
オンラインではレシート抽選で「限定巨大うどん桶」をプレゼントするというのも大きな話題となった。

※参考サイト:食品産業新聞社記事

缶バッジは全21種、そのうち4種は丸亀製麺のうどんの画像、さらに作中に頻出する効果音をモジった「ゥドン!!」だけを書いたものが1種あり、実際にキャラクターが入っている物は16種。それでもファンは集めたくなり、開始3日目にして完売店舗が続出、「3日で終了は早くないか」「運がなかった・・・」などの熱い反応があった。

『ウドンピード』コラボのGOODポイント

1つ目は、ファンの特性を活かした販促施策。ワンピースのファンは「作品ファン」が多い。最近の作品では「キャラクターファン」が多く、推しキャラクターのアイテムを出すためには何度も通うが、推しが出たら満足するのが特徴だ。しかし、ワンピースのファンはそれぞれ推しキャラクターはいるものの、作品全体を愛し、すべてのキャラクターをコンプリートするという意欲が非常に高い。そこへ打ち出された複数デザインの缶バッジなどの施策が、コレクションしたいファン魂を捉えていた。

2つ目は、販促というほど直接的ではないが、映画CMをパロディしたコラボCMを制作したこと。パロディCMは、映像内の全てが食品でできており、丸亀製麺らしい演出となっていた。ファンの中で、「この素材はなんだろう」と考察する流れも作られ、かなり強い施策だった。

3つ目はオリジナルトッピングによる客単価の向上。コラボかき揚げは1個180円と、アニメとフードのコラボにしては低単価な施策となっている。だが、コラボ目当てのファンがオリジナルグッズをもらうために必ずうどん1杯とかき揚げを購入するとなれば、しっかりと客単価向上に貢献する。

本件も施策が盛り沢山で楽しいコラボとなっていたが、強いて言えばビジュアル的にSNS映えするメニューを投入するのもよかったのではないだろうか。ユーザーは「かき揚げ」だとなかなか拡散しなかった。故に、「コラボ丼」などのインパクトのあるビジュアルのメニューが有ればSNSへの拡散に繋げられ、「人気が人気を呼ぶ」という状態にできたかもしれない。

近年販促効果のあったと思われるコラボまとめ

これ以外にもコラボ販促の事例があるので、6つ紹介させていただく。

■DHC×アイドリッシュセブン
ノベルティのついた限定商品が6分で完売し、「なんでこんなに早く完売するんだ」と炎上、アイドリッシュセブン公式SNSが謝罪文を投稿する事態となった。このコラボの第二弾では受注生産対応となっている。

■ラブ・ライナー×あんさんぶるスターズ!
アイメイクブランド「ラブ・ライナー」とのコラボ。こちらもアクセス集中によるサーバーダウンで炎上し、受注生産が実施されている。A3!やアイナナと同様に質の高いKVが目を引く。

■日清「カレーメシ」×ヒプノシスマイク
オリジナル楽曲として、歌詞を動画に乗せた「リリックビデオ」がカレーメシくん公式Twitterで連日公開され、SNSを中心に話題に。Twitterリツイートキャンペーンには7万件以上の応募があったとされる。

■カップ麺のどん兵衛@ローソン×ご注文はうさぎですか(通称:ごちうさ)
対象のカップ麺を2個購入すると、オリジナルクリアファイルをプレゼントという企画。全国のローソンからどん兵衛がなくなり、「どん兵衛消失事件」と話題になった。当時の旬であった「ごちうさ」と、購入してから日持ちするどん兵衛がうまく噛み合った施策。

■はなまるうどん×刀剣乱舞
アニメ「刀剣乱舞はなまる」放送時に行われたコラボ。アニメに登場したうどんを模したコラボ商品の販売で、池袋の店舗では2時間待ちの行列ができた。

■森永乳業ミロハ×新テニスの王子様(通称:テニプリ) 跡部景吾
キャラクター単体でコラボした事例。テニプリとのコラボだが、出てくるキャラクターは跡部景吾(あとべ・けいご)だけ。発表時は関連ワードがトレンド1位になり、森永乳業の株価も急上昇するなどの反応があったのも話題を呼んだ。

数々の事例を見ていただいたが、販促成功例に「コアアニメが多い」とお気づきになった方もいると思う。こうした販促効果のあるコアアニメを捕まえる際は、目安としてツイッターのフォロワー数を見ておくことをおすすめする。

「今来てる」、または「これから来そう」な作品のフォロワー数

コラボをする際に、どれくらい購買層がいるかを測るのにもツイッターのフォロワー数は非常に参考になる。

コラボを企画する際に重要なこと

様々な事例を見ていただいたが、大切なことを1点だけ。

コンテンツを選ぶときに、コラボをする目的が何なのかというのは重要だ。理由は、目的によって最適なコンテンツは分かれるため。往々にして「販促」に最適なものはコアコンテンツ、「ブランディング」に最適なものはメジャーコンテンツと言われている。

販促向けとされるコアコンテンツというのは日本全国に何人のファンがいるのか、認知度は?となると、ちびまる子ちゃんなどにはかなわないが、コアコンテンツには「ただ知っているだけの人」が多いメジャーコンテンツに比べ、かなりの関心の深さを持つファンが多い。コンテンツが展開するものにしっかり乗り、「コンテンツに投資する」という考えを持つのが、コアコンテンツのファンの特徴だ。

かたや広く浅く安定的なメジャーコンテンツ。「ドラえもんがコラボしてるから」というファンももちろんいるが、大体の人はそこまでドラえもんへの興味が深いわけではない。よって、メジャーコンテンツはブランディングのためのコラボに非常に有効で、日本全国にコラボを届けることが出来る。 目的が違えば適したコンテンツも変わるので、はじめに目標をしっかり確認してからコンテンツを選定するのが重要だ。

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