パブリックドメインとは?著作権が切れるとキャラクターはどうなるの?

「米国では2023年にミッキーマウスの著作権が切れる…?」というトピックが話題になっています。キャラクターなどの著作者の権利を守る著作権には「保護期間」があり、保護期間は国によって異なります。では、著作権の保護期間が過ぎたキャラクターはどうなってしまうのでしょうか…?
話題のトピックから、古くからあるキャラクターの著作権の考え方とパブリックドメインについて考えてみましょう。

目次

米国では2023年にミッキーマウスの著作権の保護期間が切れる…?

世界中で人気のキャラクター「ミッキーマウス」。その著作権のアメリカでの保護期間が2023年に期限をむかえることが話題になっています。
著作権の保護期間とは、著作権(創作した人に与えられる権利で、著作物を他人が無断で利用できないように保護している権利)が消滅するまでの期間のことで、各国ごとにその国の法律で定められています。
ミッキーマウスが初めて登場したのは1928年の映画『蒸気船ウィリー』だと言われています。米国でのミッキーマウスの著作権の問題は、この映画の公表時点から95年が経つ2023年で、その当時のデザインのミッキーマウスの著作権の保護期間が切れるのではないか?という内容です。

著作権の保護期間が切れたらキャラクターはどうなるの…?

では、著作権の保護期間が過ぎれば、そのキャラクターは自由に使えるようになるのでしょうか…?
実際には、著作権の保護期間が切れている場合でも、以下のような懸念があります。さまざまな条件が絡むため、事前に調査したうえで慎重な判断が必要でしょう。

  • ライセンスキャラクターとしてそれまで運用されてきたキャラクターであれば、商標登録されている可能性がある。商標登録されているキャラクターの商標権は、登録申請した企業・個人などが持っており、登録されている範囲の目的で他社が勝手に利用することはできない。
  • 長年にわたりライセンサー(版権元)がそのキャラクターのブランドを構築・管理してきたことが一般に認知されている場合、他の企業がキャラクターのイメージを毀損するような使い方をすれば、使用した企業の信頼が損なわれてしまう。

パブリックドメインとは?

一方で「パブリックドメイン」という考え方もあります。パブリックドメインとは「創作物にかかわる知的財産権(著作権を含む)が発生していない状態」のことです。パブリックドメインが成立する条件はいくつかありますが、代表的なものは以下です。

  • 著作者が著作権を放棄した場合
  • 著作権の保護期間が終了した場合日本の場合、原則として著作者の死後70年 ※例外など詳細はこちら
  • 権利者が死亡し相続人がいない場合

パブリックドメインの著作物は、誰でも入手や利用ができますが「著作者人格権」(著作者の人格・精神的利益を守る権利)は守られます。そのため、著作者を傷つけるような改変はできません。また、前項と同様に、著作権の保護期間が切れていたとしても、商標権が登録されている場合もあるため、活用を考える場合には事前の調査が必要です。

作者が自ら二次利用をフリーにした例も

著作者の権利は、長い期間保護され、守られるものというイメージがある一方で、作者が自ら二次利用を自由化する実験的な取り組みが行われた例もあります。
佐藤秀峰さん作の人気漫画『ブラックジャックによろしく』は、作者の意向で作品の二次利用が無償化されました(利用規約で定めた範囲内に限る)。同作は、広告などで幅広く活用され、作者のWebサイトでは二次利用フリー化から10年の活用状況が報告されています。
(参考)佐藤秀峰さんのnote:https://note.com/shuho_sato/n/n75c0cd1347a

まとめ:著作者の権利に敬意を払い、慎重な検討を

この記事では、ライセンスキャラクターを活用するにあたり、知っておきたい著作権の保護期間やパブリックドメインの基礎知識を紹介しました。他者の著作物を活用する際は、著作者の権利に敬意を払うためにも、ライセンサー(権利の保有者や窓口)に相談するなど、事前に慎重に調査・検討を行いましょう。

※本記事は概要のみの紹介のため、法令等の詳細な解釈は必ず案件ごとにご確認ください。

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