聖地巡礼だけじゃない!?アフターコロナの旅行はコラボツアーに注目!
宗教において聖地に赴くという重要な意味を持つ「聖地巡礼」。
それが転じて日本では、アニメなどのファンがロケ地や舞台となった場所を実際に訪れることを指す言葉として使われています。世界で最も有名な聖地巡礼ポイントはイギリスにあるアビイ・ロード横断歩道でしょうか。ビートルズの真似をして写真を撮る…これも一種の聖地巡礼です。
このようにアニメに限らず、映画や特撮などにも聖地は存在しますが、日本では特にアニメに登場する舞台を訪ねる観光スタイルが勢いを増しており、インターネット上で「聖地巡礼マップ」を運営するディップによると現在日本にある「聖地」は2021年4月時点で全国に5315カ所。14年4月時点の2478カ所からなんと倍以上に増加しています。
個人での聖地巡礼も勿論多いですが、最近ではコラボルームとのセットや、出演声優や監督に会えるといった付加価値を付けた旅行会社によるツアーも人気に。そして今、この聖地巡礼がアフターコロナの旅行業界や地域再生の鍵となるのではないかと注目されているのです!
今回はアフターコロナにむけて、そんな注目の「聖地巡礼とコラボツアー」にフューチャーします。
※画像引用元:JALPAK × ラブライブ!サンシャイン!! コラボ企画プレスリリースより
オタクな話:そもそもアニメの聖地巡礼っていつからあったの?
聖地巡礼という言葉自体急に流行りだしたように感じるかも知れませんが、実は聖地巡礼の歴史はわたしの知る限り90年代前半まで遡ります。91年ごろに「究極超人あ〜る」という作品の舞台となった長野県飯田市が大規模な事例の最初と言われていて、その後に「天地無用!」(92年)で岡山県が舞台になったり、「スラムダンク」(93年)で江ノ島高校前駅が聖地となったりとこの頃には、多くの作品のファンが集まって記念写真を撮ることが一部で話題になっていました。
それ以降も「らき☆すた」や前回も紹介した「あの花」などの聖地巡礼が話題になりましたが、最も大きかった転換点は「君の名は。(2016年)」の大ヒット。興業収益250億円を超えた作品の聖地巡礼が地上波番組などに広まったことによって、「聖地巡礼」という単語がその年の「新語・流行語大賞」でトップ10入り。ワードとして注目され、アニメファン以外にも広く知られるようになりました。
このころには展覧会を巡るツアーやカフェバスツアーなどのセットツアーが主流になってきています。
7億円の経済効果を生み出した例も
上述のように話題になっているのは間違いないとはいえ、実際にどのくらいの経済効果が出ているのかというのは気になるところではないでしょうか?
聖地巡礼により大きな経済効果が出たことで話題となった、茨城県大洗町のガールズ&パンツァー(2012年)の事例をご紹介いたします。
作品の舞台となった大洗町には放送当時からファンが詰めかけ、野村総研の調べによると2014年時点で年間の経済効果は7億円にも及びました。
ここまでの経済効果となった理由は、他の聖地巡礼と違い「ファンの間で話題になった」で終わりではなく、まちを挙げてオリジナル商品の制作やスタンプラリーの実施をしたり、
コラボツアーはもちろん公共交通機関などとのタイアップや果てにはふるさと納税にも活用など、ファンのためのさまざまなコンテンツを活用して人を集め、地域の活性化に聖地巡礼を活用したというところにあります。
まさに聖地巡礼×コラボツアー×地域活性のすべてを達成した成功事例の代表といえるのではないでしょうか。
アフターコロナのコラボツアーとは
とはいえ今までの話はコロナ禍になる前の話。
今後はすべてが今までとは同じようにはいかなくなってしまうでしょう。
では、アフターコロナのコラボツアーとはどういったものになるのか、大予想してみました!
①キャラクターを案内人に活用するツアーが増える
・自由参加型
・期間内ならいつ行っても良い
この二つの特徴を持ったコラボツアーが増えるのではないかと思っています。
今までのコラボツアーのように決められた日にまとめて行くのではなく、ファンが期間内に自由に行くことで、ツアーバスの定員制限や一度の大人数輸送による感染リスクを抑えられるようになります。過去にはアイドリッシュセブンとのコラボツアー「OFF/旅」がこのような形式のコラボツアーとして実施されており、その際はなんと7000名以上が参加したと公式も発表しています。
このようにキャラクターをうまく活用することで、感染リスクを抑えて実施していく形が主流になるのではないかと予想します。
②Zoomを活用「行かないコラボツアー」!?
新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、2020年は聖地巡礼だけでなくイベントのほとんどが中止になりました。そんななか登場した「リモトラ」(リモートトラベル)といった企画は『宇崎ちゃんは遊びたい!』とタイアップし、「宇崎ちゃんは鳥取で遊びたい!」と題したイベントを実施。
出演した声優がアニメの舞台になった場所を巡って撮影してきた動画を見ながら、「Zoom」を利用してトークショーを行うなど、完全オンラインでの疑似コラボツアーが実施されました。
また、兵庫県西宮市が舞台となった『涼宮ハルヒの憂鬱』(放映:2006年4月~7月、2009年4月~10月)のファンを対象にしたイベントでは、作品に出演した声優と番組のプロデューサーが舞台となった場所に行って撮影した動画を、新型コロナウイルス感染対策が施された小規模のホールで上映し、ネットでも中継するなど、
これからは今までにはない「実際にはいかないコラボツアー」という形も増えていくのではないでしょうか。
③マネタイズとしてグッズに力を入れるようになる
上記のようなオンラインツアーはもちろん経済効果が生まれるように有料で行われていますが。一方で、マネタイズがしづらいという難点もあります。そういった解決策のヒントになりそうなのが、アニメツーリズム協会が2020年行った、『氷菓』とのVRツアーの事例。
舞台となった岐阜県高山市をVRでガイドすると同時に、現地から取り寄せた飛騨高山の名産品を販売したところ、VRを体験した多くの人が飛騨牛を使ったラーメンやカレーなどを購入するという結果になりました。
地元の名産品以外にも、例えば描き下ろしイラストを利用したグッズやボイスノベルティ付きのグッズを販売するなどコラボグッズには多くの可能性があります。
コラボグッズを制作し販売することは新たな形のコラボツアーのマネタイズとして、ヒントになるのではないでしょうか。
いかがでしょうか。
今回は聖地巡礼とコラボツアーに絞ってご紹介いたしました。
ここ数年なかなか旅行に行けずうずうずしている旅好きの方もいらっしゃるのではないでしょうか(私もそうです!)
アフターコロナの旅行は是非コラボツアーも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
文責:中里